南関日記

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南関日記

過去の日記

2013年1月23日(重) 第16回 TCK女王盃(JpnV)


今日は大井開催3日目。
メインレースは牝馬による1800m戦、第16回 TCK女王盃(JpnV)が行われました。
人気は前走クイーン賞を逃げ切り勝ち、内田博幸騎手のレッドクラウディア。
レースは張田騎手のプレシャスジェムズが出遅れ、最内、佐藤友則騎手のトウホクビジンが好スタート。
その外からレッドクラウディアがハナへ。
番手に戸崎騎手のエミーズパラダイス。
その外からは濱中騎手のメーデイアで1角へ。
その後ろ内からトウホクビジン、今野騎手のハルサンサン、田邊騎手のプリンセスキナウ。
向正面に入ってもペースはそれほど落ちずに比較的全馬かたまった状態。
大外から宮川騎手のアドマイヤインディ、続いて張田騎手のプレシャスジェムズもまくっていき3角へ。
前はエミーズパラダイスが後退し、逃げるレッドクラウディアの外からメーデイアで直線へ。
直線に入るとメーデイアが一気に後続を引き離し先頭。
そのまま5馬身差で見事1着!
2着に外から追い込んできた吉田隼人騎手のアクティビューティ。3着にレッドクラウディア。

メーデイアは中央でも4勝全て1800m戦、今回も先行して抜け出すダートでは理想的な脚質での見事な快勝です!
初大井参戦の濱中騎手でしたが、10番枠から自然にある程度外を回れたのもよかったと思います。
スタートも速く、前につけながらしまいもきっちり伸びるので大崩れしない走りはかなり魅力的です。
前走初夢ステークスではキレ味のあるタカオノボルに差されましたが、今回レッドクラウディアとクラーベセクレタが前でやりあい速いペースになったのも展開がむきました。
重馬場ですが1:53.7上がり39.5もいい時計だと思います。
逃げて自分でもペースを作れるので、速い流れのレースに持ち込めばかなりいい走りをすると思います。

アクティビューティは好スタートも前と離されての内目7,8番手からのレース。
向正面では今野騎手の後ろのポジションから3,4角は内目を回り直線外に出して追い込んできての2着。
前走クイーン賞では12番枠からなかなか内にいけずに7番手からのレースで8着。
今回もスタートダッシュがきかず前目のレースはできませんでしたが、内目のコース取りと3,4角でも内を回り直線だけ外に出すお見事な騎乗だったと思います。
前とはかなり離されましたが、あせらずに差すレースを経験できたのは大きいと思います。
スタートも悪くないので、次走も注目ですね。
トウホクビジンの後ろを嫌ったのか、今野騎手ハルサンサンの後ろのコース取りをとるあたりは吉田隼人騎手らしいそつのない乗り方だなぁと思いました。
地方競馬はただ前に行くという感覚ではなくやはり繊細に乗っていますね〜。
重賞での中央馬ではなく、Cクラスあたりの地方馬に乗った騎乗を見たい騎手の一人ですね。

レッドクラウディアは抜群のスタートダッシュで迷わずのハナ。
すぐ外にエミーズパラダイスにつけられて速いペースのままの苦しい展開に。
直線で外から一気にメーデイアにかわされた後も失速して外から差されての3着。
前走クイーン賞では逃げ切り快勝でしたが、初の55キロで今の大井1800mは少し長かった感じでしょうか。
個人的には馬場回復時の大井でのコース取りも少し内側すぎた感じもします。
2戦連続で逃げたので、次走の走りは注意して見たいと思います。

馬券的にはメーデイア、レッドクラウディア、エミーズパラダイス軸の3連単もアクティビューティ2着は買えずに撃沈です・・。
しまいの脚を活かしそうな内田騎手のレッドクラウディア、前に行きそうなアクティビューティと完全に逆の予想をしてしまいました。
かなり人気が偏った時にしか3連単は買わないのですが、ちょっとした展開の違いで着順が入れ替わる競馬において、やはり3連単はむずかしいなぁ〜と感じました。


今年からJRAの降着・失格のルールが変わり、影響のあるレースが早速何度も起きているようですね。
特に1月20日の中山11Rの第54回アメリカジョッキークラブカップ(GU)では重賞ということでかなり注目されていたこともあって話題になっています。

このルール改正ですが今年の4月からは全国の地方競馬場でも同じルールに変更する予定です。
南関などのダート戦では斜行による走行妨害はあまり見ないので、JRAほどの影響はないと思いますが、避けては通れない感じになっているので、早めに理解をしておくといいと思います。

ということで、せっかくなので簡単に今回のAJCCを例に簡単にルール改正の流れを。


★★★2013年1月20日の第54回AJCC★★★

・最後の直線残り200m付近で外にいたフランシス・ベリー騎手のダノンバラードが内側に斜行して、大野騎手のトランスワープ、勝浦騎手のゲシュタルトの進路が狭くなる。

トランスワープは体勢を立て直して追うも1馬身1/4届かずの2着。

・レース直後、審議のランプは点灯せず。

・トランスワープ陣営の萩原師と大野騎手が走行妨害の申し立てを行い審議ランプが点灯。

・その後すぐに審議のランプは消え、 『走行妨害の影響がなければ5番トランスワープは3番ダノンバラードより先に入線したとは認めなかったため』到達順位通り確定。

・フランシス・ベリー騎手は2013年1月26日(土)から2月10日(日)までJRA開催日6日間を含む16日間の騎乗停止。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


まず、はじめに今回のルール改正は2007年の国際セリ名簿基準委員会(ICSC)が定めるパートI国昇格に伴い、国際協調を目的に国際競馬統括機関連盟(IFHA)が設置した『裁決事項の調和に関する委員会』でカテゴリーTの基準を参考に見直していく形での改正になります。

2009年フランスヴェルメイユ賞での降着問題(個人的にも厳しい気がしますが・・)から、国際的にルールを統一しようという流れになっています。

カテゴリー別の降着・失格の基準
カテゴリーT カテゴリーU
イギリス、アイルランド、オーストラリア、アジアの大部分の国etc.
フランス、ドイツ、日本、南米諸国、アメリカ
馬がレースで見せたパフォーマンスを尊重し、走行妨害がなければ被害馬は加害馬よりも先着することができた場合のみ降着
走行妨害により、加害馬が被害馬の競走能力に与えた影響の度合いによって加害馬は被害馬の後ろに降着または失格


いろいろややこしいですが今回のルール変更で大きく変わったところは『到達順位の尊重』『騎手への制裁強化』でしょうか。

つまり降着になる条件は、『走行妨害がなければ被害馬は加害馬に先着していた』と裁決委員が判断した場合のみです。
今までの
2010年ジャパンカップのブエナビスタ。
2006年エリザベス女王杯のカワカミプリンセス。
1991年天皇賞秋のメジロマックイーンなども現在のルールでは降着なしになります。
というように降着はほぼなくなった感じになりました。

参考までに降着になるケースとして2011年5月8日の京都1R3歳未勝利戦などもチェックしておくといいと思います。

また失格になる条件も『極めて悪質で、他の騎手や馬への危険な行為』と『競走に重大な支障を生じさせた場合』両条件を満たしたと裁決委員が判断した場合です。
極めて悪質な騎乗をする騎手などいないと思うので、失格もほぼなくなりそうですね。


そしてもう一つの問題になっていたのが審議ランプが点灯しなかった点でしょうか。
走行妨害があった事は裁決委員も認めているわけですが、最後の着差で瞬時に降着はないと判断した事になります。
今回のルール改正で審議ランプが点灯するのは、
・5位までに入線した馬の着順に変更の可能性がある場合。
・5位までの馬について他の出走関係者から『失格・降着の申立て』があった場合。
・5位までの馬が後検量で失格になる可能性がある場合。
・裁決委員が特に必要と認めた場合。
の4つになります。
なにやら最後の『裁決委員が特に必要と認めた場合』は今後ひと悶着起きそうですが・・(笑)

つまり、走行妨害があったとしてもかなりきわどい着差でないと降着にはならず、さらに走行妨害をしたベリー騎手には16日間の騎乗停止と『騎手には重い制裁、降着はなし』という事例が以前よりもかなり多くなってくると思います。

個人的には馬の能力やパフォーマンスのみを重視しすぎたカテゴリーTよりも、騎手の技量や駆け引き、それに伴う馬のパフォーマンスの総合的なものが競馬の醍醐味だと思うのでカテゴリーUの基準を支持していますが、世界の流れに逆らう事はできないのでカテゴリーTのルールを受け入れていくしかないと思っています。
そもそもの馬の能力が高く血統のいい強い馬の所有者に有利に働くカテゴリーTの基準はどうもしっくりきませんね・・。

そこで重要なのは、やはり馬券に対する考え方でしょうか。
走行妨害をするにしろされるにしろ強い馬に有利に働くと思うので、本命党にはかなり有利に働くと思います。
人気馬の斜行による降着がほぼなくなるので、穴党にはかなり厳しい感じですね。
さらに走行妨害の多くが最後の直線で起きると思われますが、被害を受けてから着差をつめるにはやはり瞬発力が重要になってきそうです。
飛びが大きくスピードが乗るのに時間がかかる馬は当然厳しくなりそうです。
斜行癖のある瞬発力のある馬に有利になった今回の改正ですが、まさにオルフェーヴルだな〜ということで、馬券的には評価を上げようと思っています。

私としては上であげたブエナビスタ、カワカミプリンセス、メジロマックイーンの馬券は全て降着で泣きましたし、新しい所では2012年10月17日9Rの野澤騎手のマルヒロブライティ降着でも泣いたので馬券的には悪い改正ではなさそうですね(笑)。

日本はまだ3連系までの馬券ですが、4連5連系の馬券も発売しているフランス、アメリカあたりはルール改正すると馬券購入者にとってはかなり影響を受けそうですね。
フランスは今後基準の変更を検討すると言っているので注目です。

走行妨害が起きなければなんの問題もないのですが、レース中唯一走行妨害を回避できるのが騎手。
『騎手への制裁強化』によりラフプレー防止につながると発表しているJRAですが、個人的には騎乗停止よりも降着のが騎手には精神的にも重い制裁だと思うので、あまり変わらない気がします。
悪質な騎乗が繰り返されれば裁定委員会で免許取り消しまで判断することになるみたいですが、そこの定義もうやむやなので免許取り消しもない感じでしょうか。
ということで基本的には被害を受けた馬、関係者、馬券購入者はやられ損になるとは思います。
被害を受けたにも関わらず、『進路を妨害されそうになったのになぜ回避できなかった』と世間でよく見る理不尽な事が起きそうで怖いです。
やられ損を避ける為に危険な走行妨害回避の騎乗が増えると当然事故も起きてしまいます。
それを防止するにはまず高速馬場を変えるのが一番だと思うのですが、JRAはやりそうもないので無理でしょうかね・・・。


もうひとつ気になるのが、世界でも圧倒的に馬券の売上げの高い日本の競馬。
被害を受けた馬を買うと馬券的にはデメリットしかないので、やはり競馬離れが考えられます。
馬券売上げの高い日本やフランスなどはカテゴリーTにあわせることで馬券の売上げは大丈夫なんでしょうか・・・。

その売上げで高い賞金を出しているJRA。
売上げ増加の可能性の少ない中、今年から日本ダービーの賞金増額。
功労馬繋養展示事業助成金を減らしたように今度はいったいどこを削るのでしょうか・・大変興味があります。

参考までに2011年の馬券売上げと控除額です。
日本では売上の約75%が払い戻し金、約25%が控除。
その控除の約10%が国庫、約15%が主催者の収入になり、賞金や運営に使用されます。

2011 Betting & deductions(in Euros)

(Country)
売上げ
(Betting Turnover)
控除率(%) 控除額(Total Deductions)
JAPAN 26,032,454,441 24.8% 6,460,634,882
FRANCE 9,920,064,368 25.1% 2,490,648,449
HONG KONG 8,566,089,000 16.2% 1,386,393,150
AUSTRALIA - Tote 8,028,416,289 17.0% 1,364,830,769
AUSTRALIA - Bookmakers 3,280,098,895 10.0% 328,009,889
KOREA 4,528,353,068 28.7% 1,301,038,480

2011年日本の馬券売上げと控除率など(in Euros)
売上げ
(Betting Turnover)
26,032,454,441
払い戻し金
(Return to Customers)
19,571,819,558
払い戻し率(%) 75.2%
控除額
(Total Deductions)
6,460,634,882
控除率(%) 24.8%
国庫
(Received by
Government)
2,353,055,880
国庫(%) 9.0%
運営
(Retained by
Wagering Operators &
Other Deductions)
2,522,730,077
運営(%) 9.7%
賞金
(Returned to Racing)
1,584,848,924
賞金(%) 6.1%

勢いで日記に長々と書きましたが、国際的な競馬のページを作った方がわかりやすいですね・・・。
とりあえず、TCK女王盃のメーデイアは強かったです・・(笑)



うまうま君