■日本のダートは一般的に芝よりもパワーが必要とされています。
芝に比べ馬場状態も天候に左右されにくく維持費も安く、馬の脚部にかかる負担が少ないので馬にも人にもやさしいいい路盤です。
一般的に雨などで馬場が重くなると時計は早くなります。良よりも、稍重や重、不良になったほうがタイムが早くなりますが不良馬場では各競馬場によりタイムが遅くなる場合もあります。
日本のダートは砂が主体で各競馬場ごとにさまざまな砂が使われています。
砂質には海砂、川砂、山砂、湖砂などがあり、砂厚も各競馬場によって違います。
南関各競馬場の砂と砂厚
競馬場 | 砂 | 砂厚 |
浦和競馬場 | 海砂(青森県六ヶ所村) | 8cm |
船橋競馬場 | 海砂(青森県六ヶ所村) | 9cm |
大井競馬場 | 海砂(青森県六ヶ所村) | 8cm |
川崎競馬場 | 海砂(青森県六ヶ所村) | 8.5cm |
・平成24年7月29日第7回開催より大井競馬場の砂厚は7cmから8cmに変更になりました。
・平成23年5月第2回開催より、川崎競馬場の砂は仙台産から青森産になりました。
・大井競馬場ではトウインクル開催のライトの反射を考慮して照明に映える白い砂を使用しています。
・中央競馬ではトレーニングセンターも含めて全て青森県六ヶ所村の海砂を使っています。
平成19年1月27日〜2月13日に馬場改修した大井競馬場のダートの層を例に見てみましょう。
■ダートは砂や土が何層にもなってできています。
★クッション砂
この砂は競走馬の蹄が路盤表面に踏着時に生じる衝撃をやわらげる働きをします。
これが浅すぎると四肢の路盤から受ける衝撃が大きくなり、その負担から障害が発生することが明らかになっています。
この上を直接馬が走行するのでとても重要な層です。
★セット層
クッション砂の粒子が、競走や調教などにより細かく砕け、クッション砂の下に固まって堆積した層です。
この層が堆積すると馬場も硬化し、水はけが悪くなります。
★榛名ダスト
すぐれた排水性のある山土を路盤の上にしきます。
★砕石路盤
大井競馬場では1989年に地盤を赤土系から砕石系に改良しました。
■馬場柵沿いは水捌けやコーナーリングのために勾配が設けられています。
大井競馬場の場合、斜度はコーナーで斜度3%(A×0.03)。直線で1.5%(A×0.015)あります。
☆雨が降るとこの勾配によって砂が雨に流されて低い方へ移動するため、馬場柵沿いのクッション砂は厚くなりがちになります。
馬場の回復時なども勾配のため、馬場柵沿いと馬場の真ん中では馬場状態が多少違ってきます。
馬場回復時の内の馬の脚がとまったり、雨で薄くなった馬場の真ん中を追い込み馬が突っ込んできやすくなりますので注意が必要です。
☆馬場状態は競馬開催日に職員がコースを歩いて、足に伝わる感触や路盤の砂を実際に手にとって確認します。
ゴール前や各コーナーなどの路盤を赤外線水分計で含水率を計測し、総合的に判断して馬場状態を発表します。レース中も測定し、天候の変化で馬場状態が回復したり悪化したりします。
■凍結防止剤
通常ダートが乾燥すると砂埃が発生し、人馬の健康や環境にもよくないので散水を行います。しかし冬場に散水をすると凍結の原因になるため散水できません。
そのため凍結防止剤を散布しダートの凍結を防ぎます。
凍結防止剤の成分は
主に塩化ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムから成ります。
このなかの塩化ナトリウムがダート中に溶け凝固点を下げる働きをします。
しかし雨が降ると流されて効果がなくなるので追加で散布をしなければなりません。
それでも気温が下がると馬場が凍る時があります。その時は徹夜でハローがけをして凍結を防ぎます。
凍結防止剤は白い粉末状で保湿性があり馬場に散布するとしっとりし力がいる時計のかかる馬場になりますが、馬場が早くなることもあります。
中央競馬ではダートの砂厚調整や凍結防止剤の散布の情報も公開されているので興味のある方は馬券の参考にしてみては。